【種力】が生み出すのれんへの強い思い|株式会社モリタネ 代表 森 隆志|『週刊フードラボ』#18

今回のゲストは、株式会社モリタネ代表の森 隆志(もり・たかし)さん。1911年から続く株式会社モリタネは、植物のタネを専門に扱う会社で、埼玉県妻沼、深谷、そして群馬県の太田と3店舗を展開している。タネを通して、お客様も会社も共に支え合って栄えていきたいという強い思いを感じた。

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自然と生活に溶け込んでいた農家の方々との関係

「物心ついた時から家業を継ぐと思っていた。」そう語る森さんは、100年以上続く家業の4代目である。創業当初は、タネは買う時代ではなく、作る時代だった。そのため、下駄を主として扱っており、時代の流れと共に、タネの需要が高まってきたことから、タネを専門に扱う会社へと変化を遂げていった。今では、栽培の手軽さから苗を買うお客さんも増えてきたため、農家の方と連携して、野菜の苗も取り揃えている。

森さんは、小さい頃から自宅に来る農家の方々と会話していたこともあり、タネも農家の方との関係も生活の一部だった。そんなことから、家業を継ぐということに抵抗はなかった。むしろ「これから先も死ぬまでずっとタネ屋だろう。」と語る。

「良いタネは共に栄える」のれんに掲げた言葉

商品であるタネだけではなく、栽培に関するアドバイスもお客様に届けているという。例えば、3月にタネを買いに来たお客様に対し、まだ栽培する時期ではない時は、「まだ早いですよ。」と伝える。タネの専門店として、お客様が美味しい野菜を収穫できるところまで見据えているのである。

対して、農家さんから実際に栽培する際の技術のアドバイスを受けることもある。タネを介してお互いに支えながら良いものを提供し続けることで、会社もお客様も栄えることができるのである。

「自分で育てた野菜でカレーを食べる」

森さんは、小学校との提携で、食育活動も行っている。小学校では、じゃがいも、玉ねぎを育て、収穫する。栽培が難しい人参は、近くの農家の方々から野菜を譲り受ける。そして、これらの野菜を使った地元産のカレーを作って食べるという。次世代のお客様を作るために、7年間続けている活動である。自分たちで作った地元の野菜を仲間と食べる。子どもたちにとっては妻沼の野菜を将来に渡って思い出す、貴重な経験となるだろう。

「時間は巻き戻せない」野菜による人生観

「すぐにできるものではないのが野菜の魅力。」と語る森さん。お客さんに苗木を提供するには、数ヶ月前から農家の方と連携してタネを蒔いていなければならない。失敗も多いが、野菜を通して心を強くしていかなければならない。これこそ森さんのいう【種力】である。

将来の熊谷・行田地区の次世代の農家さんを支えていく森さんは、地域をタネによって盛り上げていく。

※本文は、2020年3月16日の放送内容をもとに編集したものです。掲載情報は放送日当時のものです。ご注意ください。

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