コーヒーで【生活】に楽しさと幸せを|PLACE COFFEE 店長 梅澤春樹|『週刊フードラボ』#20

今回のゲストは、PLACE COFFEE(プレイスコーヒー)店長の梅澤春樹(うめざわ・はるき)さん。『コミュニティカフェ』というコンセプトのもと、コーヒーと街の楽しいモノやコトを提供している。店長を務める傍ら、個人でも出店活動を行い、コーヒーとの新たな出会いの体験を届ける日々。「日常をより楽しくする」ことへのこだわりと「コーヒーが幸せを生み出す」という信念が梅澤さんの語りの端々には表れていた。

目次

きっかけは「自分の住む街を楽しくしたい」という気持ち

設計事務所や家業の自動車整備業での仕事を経て、梅澤さんがコーヒーを始めたきっかけのひとつは「自分の住む街を楽しくしたい」という気持ちだった。

休日は都内の好きなお店に買い物に出かけることが多かった。しかしそれは特別な一日であって日常ではない。だからこそ、「ずっと住んでいく自分の街を楽しくしたい。」と思ったのだと言う。

「自分の住む街がイケてる街になったらいいな。」

自ら何かを始めることで街のみんなが共鳴しあって、やってみよう!と思ってくれたらと梅澤さんは語る。

「これなら飲める!」ターニングポイントはスペシャルティコーヒーとの出会い

そんな梅澤さんが街を楽しくするツールとしてコーヒーを選んだのは、浅煎りのスペシャルティコーヒーとの出会いがあったからだ。

実は全くコーヒーが飲めなかったという梅澤さん。焙煎時間が長い深煎りのコーヒーの苦みが体質に合わなかった。ところが、ホシカワカフェの浅煎りのコーヒーに出会って、苦いものと思っていたコーヒーのイメージが一変した。

「これなら飲める!面白い!」

フルーティーでまるで紅茶のようなフレーバー。産地によって表情を変える味わい。

そんな魅力を人に伝えることが楽しくて「気づいたらコーヒーを売っていた。」と笑う。

梅澤さんは、個人のブランド【0+1(ゼロプラスワン)】としても、イベント出店をしてコーヒーを淹れている。ブランド名は自身の体験に重ねたものだ。【0】はコーヒーが飲めなかった頃の自分、【+1】はスペシャルティコーヒーとの出会いを意味している。この【+1】で梅澤さんの場合は人生まで変わった。

「飲めなかったものが飲めるようになるって0が1に変わるほどの大きな変化。そんな出会いをみんなに経験してもらいたい」

自身の体験があるからこそ、コーヒーの持つ可能性への信念に揺るぎはない。

「コーヒー+何か」が見つかるコミュニティカフェ

現在梅澤さんが店長を務めるPLACE COFFEE。多くの人が憩うこの場所には、『コミュニティカフェ』というコンセプトがある。「みんなが『コーヒー+何か』を探せる場所でありたい」と梅澤さんは言う。

コーヒーが架け橋となり、バリスタとお客様の間に会話が生まれる。その会話は他のお客様までも巻き込んで、いつの間にかお客様同士が互いの話をして繋がっていく。こんな風にコミュニティが作られていくのはPLACE COFFEEならではの光景だろう。 

「新しいことや面白いことを常にキャッチしながら、いいと思ったものを発信していきたい。」

コーヒーが中心にある場づくり。そんな梅澤さんのこだわりが、PLACE COFFEEにコミュニティを生み出している。

一杯のコーヒーで「幸せな時間をひとつ増やしたい」

一方「自分だけでやるならコーヒースタンドのスタイルがいい」と梅澤さんは口にした。みんなが日常的にコーヒーを飲む機会を広めていきたいのだと言う。この北関東の辺りはランチとお茶をするカフェが『目的地』となることが多い。それに対して、フラッと立ち寄ってコーヒーを飲めるのがコーヒースタンド。それは、いわば日常生活のなかの『経由地』だ。

毎日の一杯のコーヒーを肩肘張らずに立ち寄って飲むことが、一日の中で幸せな時間をひとつ増やしていく。梅澤さんは「そんな文化をコーヒースタンドという形を通して作りたいのだ。」と言う。

「日常の中で幸せな時間ってなかなか訪れない。でもそれを一杯のコーヒーで街の中に生み出していけたら。」

一杯のコーヒーに懸ける誠実な想いをのぞかせた。

「生活と仕事を線引きしない」からこそ好きなことをしたい

カフェの店長として、一人のバリスタとして、日々コーヒーに向き合う梅澤さん。彼は自身の仕事を「生活そのもの」と表現する。「線引きをせずに生活も仕事も全部一緒のものって思っていた方が人生楽しく生きられるはず。」と自身の仕事観を語った。だからこそ、好きでなければ仕事として続かない。そういう意味で始めたコーヒーでもあるのだという。

そんな【生活】への理想が、「暮らし続ける街を楽しくしたい」「コーヒーで幸せな時間をつくりたい」という想いに繋がっているのかもしれない。

誰かの何気ない日常に幸せを一つ足すように、今日も梅澤さんはコーヒーを届けている。

※本文は、2020年3月30日の放送内容をもとに編集したものです。掲載情報は放送日当時のものです。ご注意ください。

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