地域に愛され続ける店の【継続】に込めた想い|めぬま屋 高柳謙一|『週刊フードラボ』#27

今回のゲストは、めぬま屋の高柳謙一(たかやなぎ・けんいち)さん。くまがや市商工会前にお店を構える定食屋めぬま屋は、創業開始から60年にもわたり地域の方々に自慢の定食を届け、皆に親しまれてきた。三代目となる高柳さんからは高い志と愛され続ける店の店主としての哲学が感じられる。

目次

修行を重ねた先に辿り着いた場所「めぬま屋」

高柳さんは、武蔵野調理師専門学校卒業後、和食の道で生きていくと決心。越谷市にある 割烹料理屋 大花亭(たいかてい) での5年の修行を経て家業「めぬま屋」を三代目として継ぐこととなった。

大花亭で修行を積んだ5年間は「親が敷いたレールには乗りたくない」という想いとともに「自分でお店を出してみようか」と考えることもあった。いろいろなことにチャレンジしたいという意欲に溢れ、家業を継ぐことは選択肢の一つくらいに考えていたと高柳さんは言う。

しかし、ある日のお父さんからもらった「帰ってきなよ。」の一言をあまり迷うことなく受け入れることにした。「そういう道もありかな」という気持ちが湧いてきたのだ。

待っていたのは、想像していたよりもはるかに大変な現実。

山あり谷ありのジェットコースターのように忙しい日々。

そんな環境の中でも、生まれ育った景色の中で生活すると人の温かさも感じられ、

「とてつもなく厳しいレールが引かれていたが、 今では感謝しているかな。」と笑みをこぼした。

「お客様に喜んでもらうこと」へのこだわり

高柳さんが家業を継いでから今までこだわりを持ち続けていること。

それは、「お客様に喜んでもらうこと」「めぬま屋の味」の二つだ。

「自分がどんなに疲れていても、どんな状態であっても、めぬま屋の定食を食べに来てくれるお客様には絶対に喜んでもらいたい。」と高柳さんは語る。

創業当初はお肉屋さんであり、店頭でコロッケやメンチカツを売っていた。「店頭でコロッケを買ったお客さんがご飯と一緒に食べられたら嬉しいだろうな」という発想から、看板メニューである「メンコロ定食」が誕生。

「お客さんに喜んでもらいたい」という信念こそが、めぬま屋が長い歴史の中で愛される所以なのだろう。

「うちの味を喜んでもらうには、めぬま屋の味も変わることなく提供し続けたい」

その想いから、三代目である高柳さんは、味を引き継ぐための努力も日々欠かさない。

もちろんレシピは存在するが、作る人が変われば微妙に味も変わってしまう。味付けや食材、気温、時期によっても味は左右される。どの条件を揃えても、その繊細な味の決め手となるのが「経験」だという。だから、めぬま屋の味を求めるお客様に喜んでもらうために絶対に手を抜くことなく日々努力を積み重ねているのだ。

高柳さんの哲学「継続」

ここまで繋いできた定食屋めぬま屋は、自分にとって「細く長く」やるものと高柳さんは言う。

「お店にいくと同級生にあったり、めぬま屋を通して繋がっていてくれたり、そんな役割を持てるのもとても魅力の一つですね。これは地域に根ざして長くやっているからこそ、味わえること。ふと思い出して食べたくなる味っていう存在でいられたらいいなと。」

ここまで繋いできた定食屋めぬま屋は、自分にとって「細く長く」やるものと高柳さんは言う。

「お店にいくと同級生にあったり、めぬま屋を通して繋がっていてくれたり、そんな役割を持てるのもとても魅力の一つですね。これは地域に根ざして長くやっているからこそ、味わえること。ふと思い出して食べたくなる味っていう存在でいられたらいいなと。」

いいことも悪いことも続けないと味わえないから、細く長くやることには意味がある。「継続こそが大事」という哲学がめぬま屋の温かさを創り出している。

今後も変わらない「めぬま屋」であり続ける

現在は、コロナ後に向けてめぬま屋がどのようにあるかを試行錯誤中であるそう。

「あえて言うなら、もう1店舗出したい気持ちはあります。」と言いつつも「それでも、やっぱり細く長くやっていきたい気持ちはあるので、めぬま屋の味を守り続けながら今後を考えたいですね。」と語る高柳さん。

お客様に喜んでほしいという変わらない信念のもとに、長い間愛され続ける「めぬま屋」の今後の展望が楽しみだ。

※本文は、2020年5月18日の放送内容をもとに編集したものです。掲載情報は放送日当時のものです。ご注意ください。

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