今回のゲストは、Akimoto Coffee Roasters代表の矢野浩一(やの・こういち)さん、えみさん、なつみちゃん。
矢野さんご家族の温かさが伝わってきた放送となった。秩父鉄道上熊谷駅から徒歩7分、鶏のロゴが描かれたのれんをくぐり、階段をのぼると、心地よいコーヒーの香りが身を包む。人にもモノにも優しいお店作りは、矢野さんご夫婦の「足るを知る」生き方そのものであった。
「やったほうがいいよ」から始まるマクロビの世界
Akimoto Coffee Roasters は、健康的な料理がおいしいと有名である。そんなオーガニックな料理のルーツは、ニューヨークにいる友達によるマクロビオティック(以下、マクロビと記す)の紹介にある。
マクロビは、穀物や野菜を基本とする食事法や自然と調和するという思想のことである。その解釈は、動物性の食品を一切拒む人から程よく取り入れる人まで様々だ。
ある時、体に良い食事によって綺麗になっていく友人から、「マクロビをやったほうがいいよ。」と誘われた。えみさんはそれをきっかけに、オーガニック野菜を使った料理教室へ通い始める。
今では、えみさんの作る料理の数々は多くの人を喜ばせている。例えば、季節の食材を使った米粉のマフィンは20種類以上のバリエーションがある。ミネストローネスープに至っては、野菜だけで作られているにも関わらずコクがしっかり感じられるのがポイントだ。
「自分でできることは自分でやる」ポートランドで受けた衝撃
人に広めたいという思いからか「いつか、えみさんの料理を活かしたい。」と考えていた浩一さんは、アパレルメーカーの景気の悪化を受け、業界を離れることになった。それをきっかけに、カフェを開業しようと考え、コーヒーの勉強を始めるために、アメリカのポートランドへと渡航する。
ポートランドは、マイクロロースターと言われるコーヒー豆の焙煎を自らの手で行う住民たちがたくさん存在する。
そんなコーヒーの聖地の「自分でできることは自分でやる」という住民の生き方に、浩一さんは「すごいショックを受けた。」と思い出を振り返る。例えば、不要な家具の循環が進んで行われていたり、車社会のアメリカでは珍しい自転車通勤の人も多い。
サステナブルな社会の様子を目の当たりにし、ハンドメイドなお店作りを志したという。
「自分で見たオーガニック」を自信を持って届けていくこと
料理はもちろんのこと、コーヒーもオーガニックへのこだわりを見せている。店頭で取り揃えている東南アジアのコーヒーの中でも「タイ産が一押し。」と浩一さんは語る。タイは浩一さんが実際に現地へ赴いた地でもある。
オーガニックであることの証明である「オーガニック認証」は、第三者機関を介するため認定されるのに時間も費用もかかる。小規模生産者にとっては、取得が難しいのが現状である。
浩一さんは直接農園を訪問し、自分の目でオーガニックであることを見ている。だからこそ、「オーガニック認証」のないコーヒーも自信を持って届け続けることができる。
サステナブルは「生き方」そのもの
ポートランドで受けた「自分でできることは自分でやる」精神の矢野さんご夫婦。オーガニックでサステナブルなお店のあり方そのものが「生き方」であると語る。矢野さんご夫婦は、料理とコーヒーそれぞれのフィールドで支えあっている。それが、お互いにかける言葉の優しさから伝わってきた。
さらにサステナブルな社会を熊谷でも定着させようという願いから、お菓子教室やものづくりのワークショップを開いている。「今あるものに目を向けて、その中で暮らしていく。」と語る矢野さんご夫婦の生き方が、Akimoto Coffee Roastersから熊谷全体へ浸透していくのが楽しみである。
オーガニックに関心がある人はもちろんのこと、美味しい料理とコーヒーと矢野さんご夫婦が、全ての人の心と体を温かくしてくれるだろう。
※本文は、2019年11月25日の放送内容をもとに編集したものです。掲載情報は放送日当時のものです。ご注意ください。